インフォグラフィック

「ゾウのふんから紙ができる!」

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 夏休みに入ると賑わう場所のひとつに動物園があります。ご家族で訪れる予定がある方も多いのでは?ところであの独特な「動物園の匂い」はさまざまな動物のえさや“ふん”の臭いが混じり合ったものですが、世界の多くの動物園でそのふんを廃棄せず再利用する試みが行われています。堆肥化はすでに多くの動物園で実施されていて、他にも発酵させてメタンガス(バイオガス)を作ったり、ペレット化して燃料にするなど、さまざまな方法があります。フランスのボーバル動物園では、こうして作ったバイオガスで園内の自家発電とガス供給を行い、設備の暖房に使い、さらには余った電気を電力会社に売るまでになっているのだそうです。

 動物園の利用者からは「ゾウのふんから作られた紙製品」が人気を集めています。日本では“プープーペーパー”、あるいは“ぞうさんペーパー(商品名)”などのほうがなじみがあるかもしれませんね。このインフォグラフィックを見ると、ゾウが一日に食べる草と、ふんの量、そして作られる紙の量が一目でわかります。ゾウだけでなく、ウシやウマ、さらにはコアラやパンダなど、他のさまざまな草食動物のふんからも紙を作ることができます。通常は人工的に行われる紙の生産の一工程を、動物たちの食事が担っているというわけです。

 以下は「poopoopaper.com(英語)」から引用した、ゾウのふんから紙を作る手順です。

1. ふんを集める

2. 小石や泥、葉を落とし、抽出した繊維を90~100度のお湯で4~6時間茹でてパルプ状にする。この段階で殺菌が行われる。化学物質や漂白剤は使わない

3. 紙の材料となる繊維部分だけを抽出する。残りかすは肥料になる

4. 水に溶かし、非材木繊維(トウモロコシの茎、パイナップルの外殻、干し草、バナナの木の幹、桑の木の皮など季節により異なる)と混ぜる

5. 非毒性の食用着色料で色づけする

6. 紙を漉く。西暦105年に中国で発明されたこの方法は、その後大幅には変わっていない。

 

「臭くないの?」という疑問が沸きますが、基本的に草食動物のふんはほとんどが繊維質のため臭いがきつくなく、茹でて殺菌する段階で臭いがしなくなるのだそうです。こうした工程を経て、丈夫で味わい深い仕上がりの紙は葉書やレターセット、ノートなどに加工されます。

 ゾウのふんを原材料にしている紙は、動物園以外にもタイ・チェンマイのゾウ保護センターやスリランカのゾウの孤児院などの施設で多く生産されています。こういった商品を見かけたら、(そうとは知らずに)紙作りに大きな貢献をしている動物たちのことを少しだけ思い出してみてください。売上げの一部がゾウたちの保護と、彼らが安楽に暮らせるために配慮する活動に役立てられていることも。

 

 

 フランスの女性ジャーナリスト、マティルド・セレルが書いた『コンバ』には、「茶色の“砂金採取”を支援しよう」などエコロジー関連のトピックが満載。今日から1人でもできるアクションが多数紹介されています。

 

 

2016-09-27 | Posted in インフォグラフィックComments Closed 

 

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